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「透明部分での予期せぬ結果...」

honsawa
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先日ご入稿いただいたデータにて編集中に起こった、少々不思議な現象をご紹介いたします。

透明要素を含んだPSD形式の画像をIllustratorに配置し特色の色を指定していると、Illustratorでの保存時にアプリケーションから『透明部分に特色が使用されている場合、Illustrator以外でのプロセスカラー変換では予期せぬ結果を生じることがあります』とアラートが出ます。

(注:以下、ご入稿いただいたデータをそのままここに掲載できませんので、図は同じ条件の素材で再現しています)

 特色オブジェクトの上に配置した透明要素を含むPSD画像

プリントするときに表示したアラート

このまま続行すると、下版データとは違う「何かが・・・」起こる可能性があります。

そう!ここで言いたいのは「何かが・・・」ということと「可能性があります」ということ。

・・・

今回の現象での問題点は、下地と同色の不要なオブジェクトがその上に残っていた点です。

 不要な特色オブジェクト

前面に透明要素を含んだPSD画像が載っているため、下地とこのオブジェクトが予期せぬ色に変換され、色に差が生じ不要なオブジェクトが現れてしまいました。

※下の図はこれをIllustratorからプリントアウトしたもののスキャン画像。PSD画像領域に差異が生じています。
※不要なオブジェクトが残っている事はこのプリントアウトで発見しました。(◯の箇所)

 差異が生じたプリント結果

これを回避する為に、特色の指示部分をプロセス版のどれか1色に置き変えて作業をしたところ、今回の現象は無くなりました。

今回は上記の対策にて対応いたしましたが、変換してみないと一体何が悪さをして、どんな現象が起こるかが分からない・・・。

更に注意喚起があっても、必ず起こるとも限らないのです。

アプリケーション側としては通常に行なっても問題が無い作業である事、データ作成者が間違った作業を行なっているのでもありませんから、今回の仕様にてデータを作成する人・データを編集する人など、関わりがある人が気に掛け、不要なオブジェクトが発生した場合は速やかに取り除くことが肝心かと思われます。

皆様も、データ作成時にお気を付けください。


 追 記:

この一件、モニタ画面上では差異はなく、プリントした時に発生しました。 

この時は無難に特色をプロセスマゼンタに変更して保存・下版しましたが、後日に改めて検証してみました。

まず、IllustratorからPDFX1aを書き出してみました。 

PDFX1aで書き出し 

Acrobatで開くと、見た目は一見問題なさそうです。これをプリントアウトしました。

すると…

PDFX1aをプリントアウトした結果

なんとスミ部分が消えてしまいました。

しかし透明部分の領域と不要オブジェクトに色の差異はありません。

ためしに、このPDFX1aファイルをIllustratorで開いてみると… ↓

PDFX1aをIllustratorで開いてみる
 

やはりPDFX1a化した時に透明部分は分割されています。スミ画像はその下に隠れていました…。

・・・

次、PDFX4で保存。

こちらもAcrobatで開くとモニタ上の見た目・分版プレビューに問題はありません。

プリントアウトしてみました。すると...

PDFX4で書き出し
 

Illustratorからプリントした時と同じように差異が生じました。

そこで、プリントサーバーの特色補正の設定を変えてみたところ…、

特色設定を変更しPDFX4をプリントアウトした結果
 
やっと差異のない意図したプリントが出ました。

ここで変更した特色設定とは「データで使用されている特色インキにプリントの色を近づける」という設定で、これをオフにしました。

この設定でIllustratorからもプリントしてみたところ、こちらも意図したプリントとなりました。

本来、色をインキに近づけるはずの機能が、この場合では逆に差異が生じてしまうのですね…。
(先のPDFX1aもこの設定オフでプリントしましたが、上記の結果と変わらずでした。)

・・・

ということで、本件のような場合はPDFX1aでの保存は不向きで、データとしてはIllustratorネイティブかPDFX4での保持・保存が望ましく、プリントでの再現についてはプリンター特色設定の有無に依る、ということになります。

利用者が必ずしもプリントサーバー等で特色設定を変えられる環境ではないでしょう。
(プリント用にプロセス変換した別ファイルを作るのも手ですが、これで下版せぬように...)
どちらにしてもプリント結果は必ず確認が必要です。

保存したPDFX4についても意図した変換・分版になっているかどうか十分な確認が必要ですね。

補足・追記:2018.6.14 

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